近年、映画脚本(シナリオ)や脚本家(シナリオライター)の仕事への学術的関心は国際 的に急増してきたが1、日本のシナリオについての議論はいまだ発展していないままであ る。しかしながら日本においては、シナリオについては多数の研究文献が存在しており、 また多様な出版戦略によって、他の国の映画文化ではほとんど比類がない、シナリオを一 般読者のために提供する長い伝統もある。そこで、いわゆる日本映画第二次黄金時代であ る 1950 年代における映画製作や観客受容の全体像を把握するためには、シナリオのこと を詳細に再検する必要がある。本論文では、まず、日本映画史編纂では、シナリオライターの役目がどれほど注目されて きたか、映画史のなかでいかに位置づけられたかを検討する。また、脚本部での職業的訓 練と「定宿」に代表されるシナリオライターに配分された独特な作業空間を論議する。最 後に、スタジオシステムという文脈のなかで明らかになるジェンダーの問題と女性脚本家 の出現を考察する。

女房役から作家へ 日本映画史におけるシナリオライターの地位

Kitsnik, Lauri
2016-01-01

Abstract

近年、映画脚本(シナリオ)や脚本家(シナリオライター)の仕事への学術的関心は国際 的に急増してきたが1、日本のシナリオについての議論はいまだ発展していないままであ る。しかしながら日本においては、シナリオについては多数の研究文献が存在しており、 また多様な出版戦略によって、他の国の映画文化ではほとんど比類がない、シナリオを一 般読者のために提供する長い伝統もある。そこで、いわゆる日本映画第二次黄金時代であ る 1950 年代における映画製作や観客受容の全体像を把握するためには、シナリオのこと を詳細に再検する必要がある。本論文では、まず、日本映画史編纂では、シナリオライターの役目がどれほど注目されて きたか、映画史のなかでいかに位置づけられたかを検討する。また、脚本部での職業的訓 練と「定宿」に代表されるシナリオライターに配分された独特な作業空間を論議する。最 後に、スタジオシステムという文脈のなかで明らかになるジェンダーの問題と女性脚本家 の出現を考察する。
2016
アルザス日欧知的交流事業日本研究セミナー「女と男」報告書
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