本研究は、上代特殊仮名遣いに反映されている音韻的対立が現代琉球方言に残存しているかという問題を、琉球方言の新資料をもとに考察する。8世紀の文献における万葉仮名の用法の分析から、上代語におけるイ、エ、オ段の音節に甲乙二種の区別を有することが明らかになった。このような区別が琉球方言に残存するということは、服部 (1978)、 村山 (1981)、名嘉真 (1992)、Pellard (forthcoming) で示唆され、いろいろな観点から検討されてきた。本研究で検討された方言では上代特殊仮名遣いと一対一の対応は見られないが、上代語の音韻的対立を反映しているところがいくつかがあることがわかった。本稿では、北琉球の加計呂麻方言および南琉球の波照間方言を中心として、いくつかの単語を比較検討を行い、上代語の「キ」という音節とオ段の音節に焦点をあて琉球方言と上代特殊仮名遣いとの関連を再検討する。
Ryūkyū hōgen shinshiryō o mochiita jōdai tokushu kanazukai no kentō
Giuseppe Pappalardo
2012-01-01
Abstract
本研究は、上代特殊仮名遣いに反映されている音韻的対立が現代琉球方言に残存しているかという問題を、琉球方言の新資料をもとに考察する。8世紀の文献における万葉仮名の用法の分析から、上代語におけるイ、エ、オ段の音節に甲乙二種の区別を有することが明らかになった。このような区別が琉球方言に残存するということは、服部 (1978)、 村山 (1981)、名嘉真 (1992)、Pellard (forthcoming) で示唆され、いろいろな観点から検討されてきた。本研究で検討された方言では上代特殊仮名遣いと一対一の対応は見られないが、上代語の音韻的対立を反映しているところがいくつかがあることがわかった。本稿では、北琉球の加計呂麻方言および南琉球の波照間方言を中心として、いくつかの単語を比較検討を行い、上代語の「キ」という音節とオ段の音節に焦点をあて琉球方言と上代特殊仮名遣いとの関連を再検討する。File in questo prodotto:
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