ここ数年の間に、文学作品は従来の活字という枠を越え、新たな 創作の様式を展開してきた。多和田葉子や和合亮一のように朗読パフォーマンスを得意とする 作家が現れ、その朗読パフォーマンスの研究なしに彼らの作品を理解することはできなくなった。特に2011 年以降は、福島第一原発事故に関する作品の発表を精力的に行っている。このような文学作品における新たな傾向は、現代日本文学教育の見直しを迫るものである。学生に多角的な視点から作品を理解させるためには、特定の作家や文学ジャンルではなく、特定のテーマに焦点を当てた学際的な教育コースの奨励が求められる。本投稿論文では、共通のキーワード「3.11(2011 年3 月11 日の大震災)」をもとに、文学、映画、漫画、アニメという様々な芸術分野を研究対象として取り入れた、カリフォルニア大学バークレー校(2013 年)や、モントリオール大学(2015 年)で行われたコース の実例を紹介する。また、従来の教育法を見直し、特定のテーマに対する多角的な視点を養う革新的なアプローチを図ることの重要性を提示していく。

New trend in teaching contemporary Japanese literature: the case of multidisciplinary courses on Fukushima disaster

DE PIERI, VERONICA
2017-01-01

Abstract

ここ数年の間に、文学作品は従来の活字という枠を越え、新たな 創作の様式を展開してきた。多和田葉子や和合亮一のように朗読パフォーマンスを得意とする 作家が現れ、その朗読パフォーマンスの研究なしに彼らの作品を理解することはできなくなった。特に2011 年以降は、福島第一原発事故に関する作品の発表を精力的に行っている。このような文学作品における新たな傾向は、現代日本文学教育の見直しを迫るものである。学生に多角的な視点から作品を理解させるためには、特定の作家や文学ジャンルではなく、特定のテーマに焦点を当てた学際的な教育コースの奨励が求められる。本投稿論文では、共通のキーワード「3.11(2011 年3 月11 日の大震災)」をもとに、文学、映画、漫画、アニメという様々な芸術分野を研究対象として取り入れた、カリフォルニア大学バークレー校(2013 年)や、モントリオール大学(2015 年)で行われたコース の実例を紹介する。また、従来の教育法を見直し、特定のテーマに対する多角的な視点を養う革新的なアプローチを図ることの重要性を提示していく。
2017
Conference Proceedings of the 11th International Symposium on Japanese Language Education and Japanese Studies
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